さとやまから始まる十の物語 – その10「集う」

「Social Line Design」

里山十帖がグランドオープンしてからまだ一年たっていませんが、すでに数回のトークイベントを行っています。その理由は「集いの場」をつくりたいから。

「アーティストトーク」の第一回はグラフィックアーティストの川上シュンさん、第二回は建築家でありデザイナーの鄭秀和さんをゲストに、第三回はデザイナーの太刀川英輔さん。「クリエイティブ・カレッジ」の第一回は旅館アナリストの井門隆夫さん、第二回は元武雄市長の樋渡啓祐さんをゲストにお招きしました。

「集う」のは、都市圏にお住まいの同じ指向性の方が多いのは当然なのですが、実は地元の方が半数以上。職種も年齢もさまざまですが「学びたい」という意識の強い人ばかりです。

最近、私自身、「地域活性」に関する講演依頼が多くなってきました。その際に必ずお話しするのが「集う」こと。意識レベルの高い人々が集い、学ぶ場所が必要だとお話ししています。

経済が右肩上がりの時は、商店会や商工会の役割が大きかったですし、"みんなで"底上げも可能でしたが、現在、"みんなで"は、極めて難しくなってきています。

そして今後は、地域間格差が拡大することも容易に想像できます。行政の舵取り次第では町がゴーストタウンになってしまうことも、けっして悪夢とはいえない状況です。

批判・批評は簡単ですが、批判からは何も生まれません。

私たちができることは、創造的思考で少しでも町を変えていくこと。そのためには「集い」、そして新しい社会を「創造」することが重要だと考えています。

里山十帖のメインコンセプト「Social Line Design」とは、 "つながり"をデザインし、新しい道をつくること。 そのもっとも重要な第一歩は「集う」ことです。

地域や職業を飛び越え、行政・民間企業・議員という垣根を取り去って、未来的思考、創造的思考の人々が交流を深めていくこと。

里山十帖はそんな「集い」の場でありたいと考えています。

クリエイティブディレクター 岩佐十良