さとやまから始まる十の物語 – その9「健康」

食はもちろん、睡眠も空気も健やかに。

「旅館で食事すると太ってしまうのがイヤ……」

「旅に出たいけれど、旅館の料理はちょっと遠慮したい」

そんな声を多く聞くようになってきました。

一般的に旅館の料理は超高カロリー。炭水化物とたんぱく質のオンパレードですから太るのは当然です。しかも半製品や添加物を使うのもあたりまえ。これだけ健康的な生活が重要視される時代に、です。

自然派日本料理「早苗饗」では、コースのほとんどが野菜料理。オーガニック野菜をさまざまな形でご提供しています。さらにインドでアーユルヴェーダを学んだシェフが体に効くスパイスをプラス。単なるサラダや煮物ではなく、手間と時間をかけた野菜料理です。

野菜が中心なので、お腹いっぱい食べても翌朝はすっきり。連泊した方からは「ものすごく食べたのに、家に帰って体重計に乗ったら痩せていた」という声も。

調理の際に添加物を一切使わないのはもちろん、調味料のキャリーオーバーまで徹底的にチェック、添加物の入っているものは一切使っていません。

健康をもたらすのは「食」だけではありません。たとえば睡眠。

里山十帖の各客室の寝具は寝心地だけでなく、環境にも体にも優しいものばかり。「久しぶりに朝までぐっすり寝られた」という声をたくさんいただくのですが、それは寝具のおかげである可能性が大。

「空気が澄んでいた」という声もたくさん寄せられますが、それは館内外で殺虫剤などの薬剤をほとんど使っていないことが理由かもしれません。

自然の中にある旅館でのクレームナンバーワンは「虫がいる」こと。あたりまえで、仕方のないことなのですが、それが現代では通用しません。となると、殺虫剤の散布もやむなし、広大な芝生の庭には除草剤の使用が当然、ということになるのです。

「たった一夜を過ごすだけだから」ではなく、「重要な一夜を過ごしていただくからこそ」。

私たちは、それがとっても重要なことだと思っています。

クリエイティブディレクター 岩佐十良