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ザルコシスティス症の発生について

当社ではこれまで、即時性が高く、ページビュー数も圧倒的に多いフェイスブックで本件についてお伝えしてまいりましたが、原因等、詳細がわかりましたので、ここにご報告いたします。

《本件の経緯》

8月19日未明、里山十帖にご宿泊のお客様4名が南魚沼市内の病院に救急搬送されました。その後、当社で至急調査したところ17日、18日にご宿泊の合計55名のお客様のうち、30名に腹痛、下痢(一部の方に嘔吐)などの症状が発生したことが判明しました。
保健所の調査が進むなかで、食中毒の可能性が高いとされながらも、原因がわからない状態が数日続きました。
里山十帖で使用した食材、残っていた料理、従業員とお客様の検便、キッチンや調理器具の拭き取り培養調査のいずれからも、厚生労働省が食中毒の原因としている18の菌やウィルスが全く発見されませんでした。
8月23日、南魚沼保健所は、医師が食中毒と診断したことなどから食中毒と断定、原因については不明としながらも、鹿肉では食中毒の原因とされていない病原微生物「ザルコシスティス」による症例の可能性が高いという結論を示しました。

《ザルコシスティスについて》

ザルコシスティスは馬肉に寄生する病原微生物として、近年、認知されてきているそうです。ただし鹿肉での発生が疑われる症例は全国でまだ数例しかなく、一般的には知られていない病原微生物です。一過性の下痢、腹痛(重い場合には嘔吐の症状も)を引き起こしますが、数日のうちに完治し、その後の体への影響もないため、以前は“食あたり”として考えられていた症状が、実はザルコシスティスによる食中毒だったと判ってきているようです。
本件では、このザルコシスティスが、17日、18日に使用した鹿肉の残り、そして症例の出たお客様の便から発見されました。
このザルコシスティスは一般的な肉の加熱条件では消滅せず、100度5分、または70度15分の加熱、もしくはマイナス20度で24時間以上の凍結をしなければ感染性が消滅しないそうです。
当社で仕入れた鹿肉は真空小分け包装されたもので、調理直前に開封して臭い等の異常がないか確認したのち、肉の全面をフライパンで十分に焼いて、さらに真空低温調理で熱を入れていました。しかしそれでは感染性消滅温度である100度5分、70度15分には達していませんでした。感染性消滅温度を満たすためには煮込み料理に限定するべきだったのでしょうが、ザルコシスティスの知識が当社になかったため、鹿肉の加熱不足によるザルコシスティス症を引き起こす結果となってしまいました。発症されたお客様には心からお詫び申し上げます。

《今後の取り組みについて》

当社では再発防止のため、考えられる様々な対策を講じております。今回、もっとも学んだのは、鹿肉によるザルコシスティス症と同様、他にも因果関係がはっきりしていない危険性のある肉や魚が数多く存在するということです。
当社ではジビエの取り扱いを中止するだけでなく、他の有症事例についてもしっかりと学習し、食に関するリスクを低減する方法を確立するとともに、キッチンスタッフの知識と意識の向上に努めてまいります。

なお、ザルコシスティス症を発症した30名のお客様のうち、ご高齢のお客様1名が入院に至りましたが、現在は全員完治されています。当社では発生時からお客様と密接に連絡を取らせていただいており、ご自宅をご訪問しお詫びをさせていただくなど、最大限の体制でお客様とのコミュニケーションに努めております。

また保健所からの営業停止処分は8月24日の1日間でしたが、一層の清掃、キッチンスタッフの教育等のため、発生当日の8月19日から30日まで休業いたしました。(里山十帖は従来から全館スリッパなしの施設で、キッチンは通常時でも素足で入れるように床等を毎日清掃しております)

あらためて発症されたお客様にお詫びするのと同時に、休業中にご不便をおかけしたお客様、ご心配をおかけしたお客様にもお詫び申し上げます。同様の件を二度と起こさぬよう、食品の選択や管理、従業員教育を徹底してまいります。

株式会社自遊人
代表取締役 岩佐十良

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