食材について
生産者の”想い”が詰まった食材。
「使っている食材はすべて有機JAS認証を得ているものですか?」。こんなご質問をよくいただきます。答えは「いいえ」。私たちが目指している料理は、”認証を並べる料理”でもなければ、”認証を得るための料理”でもありません。目指しているのは、力のある食材を感じていただくこと。そして生産者の想いを食材から感じていただくこと。必然的に「オーガニック」という理念をもって生産に取り組んでいる食品が多くなります。それは”認証”や”規格”ではなく、細かな生産方法の違いでもありません。私たちが大切にしているのは”想い”。ですから、無農薬だけでなく減農薬の野菜を使うこともありますし、さまざまな農法に優劣をつけるつもりもありません。 とかく人間というものは、ひとつの物事にのめり込むと、排他的になりがちです。消費者が「有機JAS認証を得ていなければ、オーガニックとは言えない」と言えば、生産者は「あの農法はオーガニックの理念からはずれている」と言ったりします。ともに目指しているのは、安全で美味しい食品のはずなのに……。私たちは特定の政党や宗教とは一切関係ありません。雑誌を長くつくっていた私たちにとって、「中立・公平」はいちばん重要なこと。だからこそ、「オーガニックな想い」を、つねに中立的な立場で伝えていけると考えています。
伝統野菜
「伝統野菜」というと京都や金沢を連想されるかもしれませんが、新潟にもたくさんの伝統野菜があります。「かぐら南蛮」「長岡丸茄子」「魚沼きんちゃく茄子」「大崎菜」「黒崎茶豆」……、数え切れないほどの種類があります。とくにナスの種類は20以上といわれ、夏から秋の新潟はナス天国! しかし新潟の伝統野菜は、京都や金沢のように飲食店で使われることがないので生産量はごくわずか。流通市場もないので多くの品種を安定的に入手するのはかなり困難です。「早苗饗 −SANABURI−」では、「そんな新潟の伝統野菜に少しでも光があたれば」という想いから、県内各地の生産者から野菜を直送してもらい(または取りに行って)料理に使っています。生産量が限られているため常にご提供できるものではありませんが、料理に伝統野菜が入っていたらじっくりと味わっていただければ幸いです。
山菜
山菜が豊富なこと、それは豊かな里山のバロメーター。山菜はいまや貴重な天然資源のため、集落の人以外は一切採取禁止になっているほどです。「早苗饗-SANABURI-」ではそんな貴重な山菜を使ったお料理を4~6月にご提供しています。とくに山菜シーズンがピークを迎えるゴールデン・ウィーク明けから6月初旬は「山菜づくし」。山菜をさまざまな調理方法でご提供します。山菜はデトックス効果も抜群。冬眠から覚めた熊などの野生動物は山菜を食べることによって体を浄化させると言われています。甘み、苦み、えぐみ、香り……。多くのお客様から「こんなに手の込んだ山菜料理は食べたことがない」「山菜の本当の味をはじめて知った」「翌日の体がすっきりした」とご評価をいただいている、「早苗饗-SANABURI-」でしか食べられない山菜料理をお楽しみください。
お米
新潟・魚沼といえば日本一の米どころ。さらに、魚沼のなかでも「南魚沼」、南魚沼のなかでも「西山地区」、西山地区のなかでも「大沢・君沢・樺野沢」のお米がいちばん美味しい、と言われています。里山十帖が建っているのは「大沢」集落の源流部にあたる「大沢山」。ワインにたとえるなら、さしずめブルゴーニュのロマネ村特級畑といったところでしょうか。そんな貴重なお米なので「早苗饗-SANABURI-」では保管からごはんの炊き上げまで細心の注意を払っています。お米の保管は常に湿度が90%以上で3度前後という天然の冷蔵庫「雪室」で。乾燥を防ぎ、食味が落ちる夏も美味しいお米を保ちます。炊き上げる際にはテーブルごとに土鍋で。水は山から湧き出る清水を使っています。炊きたてはもちろん、おにぎりにしても美味しい日本一のコシヒカリをどうぞお楽しみください。
お肉
新潟では昔からご馳走の席では「豚肉」が振る舞われました。牛肉を食べるようになったのは近年のことで、すき焼きも、しゃぶしゃぶも、肉じゃがも、肉と言えば「豚肉」のことを指しました。「早苗饗- SANABURI -」では、地元の銘柄豚「妻有ポーク」や「越後もち豚」、新潟・胎内市の「煌麦豚」などで料理をご提供しております。また牛肉には、新潟・妙高市の「短角牛」を使用。妙高・笹ヶ峰牧場の夏山冬里方式でのびのび育った「短角牛は、年間数頭しか出荷されていないため、季節によっては「岩手短角牛」を使用することもあります。
また、11月中旬からは、新潟の鴨漁師が捕獲した新潟の真鴨をご提供することも。伝統的な鴨猟「無双網猟」で捕獲した真鴨は、肉が傷みにくく、生臭さやクセが少ないため、鴨本来の味をそのまま味わっていただけます。
海の幸
「南蛮えび」と呼ばれる甘エビ、初夏から旬を迎える鮑、銀座のすし屋がこぞって使う佐渡沖で獲れる夏の本マグロ、冬の味覚の代表格である脂ののったブリや真鱈の白子、実は水揚げされているズワイガニ、常磐に出荷されているアンコウ……。里山十帖の料理は野菜中心ですが、少しずつ、日本海の幸もご提供しています。
海からは、魚だけでなく、イゴ、ギンバソウ、ナガモ、モズク、岩のりなどの海藻類の恵みもあります。ぜひ、味わいながら、海産物を育む山の栄養の大切さ、この新潟の生態系の豊かさを感じていただければと思います。
※海がしけて漁に出られない、または、水揚げが極端に少ない場合が多々あり、カニがご提供できないか、ご提供サイズが小さくなることがあります。
※ズワイガニは時価のため、ご提供価格が変動する場合がございます。予め、ご了承ください。
調味料
すべての調味料が無添加・天然醸造の"本物"。とくに醤油と味噌は、今では貴重な木桶天然醸造品です。だしは鹿児島・枕崎の本枯節と北海道の天然真昆布、大分のどんこ椎茸を使用。調理酒には地酒「鶴齢」を贅沢に使用しています。もしかすると、最初は味が薄く感じられるかもしれませんが、それは化学調味料を一切使っていないから。調理の際に化学調味料(うまみ調味料)を使わないのはもちろん、化学調味料が含まれた調味料も一切使用しません。野菜や肉、魚など、素材の持ち味と、天然醸造調味料の"優しい味"を存分にお楽しみください。
タレ・ソース
「早苗饗-SANABURI-」では、料理にあったさまざまなタレやディップをご提供していますが、それらはすべてオリジナルです。市販のマヨネーズや混合調味料を一切使わずに、ていねいに手づくりしています。たとえば肉料理のソースは、とリンゴを摺りおろすところから始めて、一番だし、醤油、和三盆糖を加えて、さらに秘密の食材といっしょに煮詰めていく……等々。手の混んだタレやソースをお楽しみください。
水
遠い昔に降った雨が地下に浸透して湧き出る源泉から、直接パイプで厨房まで水を引いています。だから、すべての料理が天然湧水を利用。
"優しい味"の秘密はこんなところにもあるのです。
日本酒・ワイン
里山十帖があるのは新潟・南魚沼。日本酒の都といっても過言ではありません。市内に「八海山」「鶴齢」「高千代」という3つの酒蔵があるほか、隣町には 「緑川」「松乃井」などもあります。どの蔵の酒も個性的でハイレベル。里山十帖には地元でしか飲めない限定酒や生原酒などが揃っています。正直、日本酒偏差値がめちゃめちゃ高い地域なんです。
そんな日本酒王国の新潟ですが、実はワインもかなりレベルが高いことをご存じでしょうか。里山十帖では「カーブドッチ」や「フェルミエ」、「ドメーヌ・ショオ」など複数のワイナリーのワインを扱っていますが、ワイン好きのお客様もびっくりするほどのレベル。一般には出回らない自社栽培ぶどうで醸造したワインを中心に取りそろえています。とくに里山十帖の野菜料理と相性のいい白ワインはかなりのレベル。もちろん日本ワインだけでなく、ブルゴーニュを中心に自然派ワインも多数。
さて、皆さんは里山十帖で日本酒を飲みますか?、それともワインにしますか?