ベストシーズンは春と秋ですが
一年中、湯量豊富な温泉が周囲にはたくさんあります。
里山十帖を起点にあちこちの温泉めぐりを楽しんでみてはいかがでしょうか?
草津温泉、有馬温泉と並び、日本三大薬湯に数えられる松之山温泉。「なんでこんな場所が草津や有馬と並ぶの?」という声も聞こえてきそうですが、実際に江戸時代の温泉番付で松之山はかなり上位に挙がっているのです。その理由は98度という高温の源泉が火山もないのに湧きだしていること、そしてその源泉の成分が猛烈に濃いこと。塩分だけでなく石油臭のような鉱物臭のするお湯は、30分も入っているとノックアウト必至。長湯は禁物の効き目抜群のお湯です。温泉街には共同浴場の「鷹の湯」(第二・第四木曜定休・500円)があり、その手前には設備の整った「ナステビュウ湯の山」(第一・第三水曜定休・500円)という日帰り入浴施設もあります。旅館の日帰り入浴でおすすめなのは「ひなの宿ちとせ」(10:30〜16:00月曜定休・700円)。
すぐ近くには美人林というブナ林もあるので、ぜひ立ち寄りを。
五十沢温泉には「ゆもとかん」のほか「さくり温泉健康館」など3軒の旅館&入浴施設がありますが、おすすめなのは源泉がドバドバ注がれる混浴大露天風呂を持つ「ゆもとかん」(10:00〜20:00・繁忙期と混雑時不可・500円)。「混浴はちょっと」という方も多いと思いますが、女性専用の内湯と露天風呂もなかなかの広さ。他の旅館であれば「これで十分!」という大きさです。源泉は無色透明ですが口に含むとほのかに硫黄臭がするのが特徴で、入浴すると滑らかな湯を実感できます。
ほぼすべての旅館が源泉かけ流しという、実は湯量豊富な六日町温泉。国道沿いには温泉銭湯の「湯らりあ」(10:00〜21:30・無休・400円)があり、ここでも源泉かけ流しの湯を楽しめます。
上越新幹線浦佐駅からも歩ける浦佐温泉。「てじまや」(12:00〜21:00・無休・600円)は赤茶色に濁る自家源泉を持つ宿で、露天風呂と内湯で茶褐色の湯を楽しめます。ともに循環はしているものの、新湯注入量が多いため入浴感はほぼ源泉かけ流し。地味ですがおすすめの温泉です。
越後駒ヶ岳の麓に湧く駒の湯温泉。「駒の湯山荘」(日帰り入浴不可)という一軒宿があり、その横に日帰りでも利用できる簡素な「露天風呂」(冬季閉鎖・500円)があります。源泉温度は30度と低いのですが、その湯量といったら半端ではなく……。"かけ流し"なんてものではなく、ドバドバと洪水のように垂れ流されています。温泉ファンなら最高の一湯になるでしょう。
新潟の玄関口、越後湯沢温泉。おすすめの入浴施設は温泉街のはずれにある共同浴場「山の湯」(火曜定休・6:00〜20:30・400円)。湯沢には複数の共同浴場がありますが、源泉かけ流しなのはここだけ。泉質は単純硫黄泉で、無色透明ながらも口に含むと硫黄の香りがしっかりします。旅館の日帰り入浴でおすすめなのは「高半」(繁忙期・混雑時不可・1000円)。川端康成が逗留した宿としても知られていますが、いちばんの魅力は温泉。"湯沢"の名の由来でもある"湯の沢"で900年もの昔から湧き出る温泉を堪能できます。
越後湯沢温泉から国道17号線を群馬方面に走って、三国峠を越した先にある法師温泉の一軒宿「長寿館」(10:30〜13:30受付・水曜不定休・混雑時不可・1000円)。その昔、国鉄「フルムーン」のCMで有名になった混浴「法師乃湯」は湯船の底から源泉が湧く足下湧出泉。鮮度の高い適温の湯が常に満たされています。日帰りでもお湯は楽しめますが、本当におすすめなのは宿泊。秘湯感の演出とコストパフォーマンスは、他の宿ではとても真似ができません。里山十帖との転泊でぜひどうぞ。
越後湯沢温泉から国道17号線を群馬方面に走って、かぐらスキー場みつまたロープウェイを過ぎた先にある一軒宿(11:00〜14:00受付・繁忙期不可・1000円)。37度とぬるめのお湯は江戸時代から目に効く湯とされ、その昔は目薬として販売されていたほどでした。岩造りの男女別露天風呂には源泉がそのまま満たされ(加熱浴槽もあります)、長湯に最適。宿泊すると満天の星空のもと、のんびり湯浴みを楽しめます。
関越自動車道でトンネルを抜けて、水上インターでおりて45分ほど走ると大露天風呂で有名な宝川温泉「汪泉閣」(9:00〜17:00・無休・1500円)に到着します。宝川温泉の露天風呂はほぼ混浴ですが、ポイントは女性用の湯浴み着を貸してくれること。混浴露天風呂はカップルやご夫婦で大半を占めていることも多く、男性客のほうが立場が弱いほどです(さらにひろーい女性専用露天風呂もあります)。とくに平日、お客さんの少ないときは本当に最高ですよ。
信濃川沿いを走る国道117号線には多くの"ツルツル・ヌルヌル"温泉があります。
十日町でおすすめなのは「千手温泉 千年の湯」(10:00〜21:30受付・無休・500円)「ミオン中里」(10:00〜22:00・木曜定休・500円)「ゆくら妻有」(10:00〜20:30受付・水曜定休・500円)で、どの施設でも茶褐色のモール泉が満喫できます。
津南町でおすすめなのは「竜ヶ窪温泉 竜神の館」(10:00〜21:00・火曜定休・500円)。黄色いモール泉が大きな露天風呂に満たされています。
温泉ファン垂涎の地、秋山郷。最奥の切明温泉は川原を掘るといたるところに温泉が湧き出る秘湯中の秘湯。夏になるとスコップ片手にMy湯船をつくる温泉ファンを多く見かけます。切明温泉には村営の宿「雄川閣」のほか3軒の宿があり、なかでも「雄川閣」(10:30〜18:30・冬季は木曜休・500円)の川に張り出した露天風呂は絶景!
混浴でしかも周囲から丸見えなので女性の日帰り入浴はちょっと厳しいですが、男性にとっては景色、泉質ともに最高の湯船です。そのほか切明温泉以外にも炭酸ガスを多量に含んだ湯が「ゴボッ、ゴボッ」と音をたてて注ぐ小赤沢温泉「楽養館」(10:00〜19:00・冬季は水曜休・300円)や、絶景露天風呂の「萌木の里 山彦の湯」(10:00〜日没・500円)など、魅力的な温泉が点在。東京からだととても遠くてそう簡単に行けない秋山郷も、里山十帖を起点にすれば気軽なワンデイトリップです。
野沢温泉に向かう国道117号線、飯山線横倉駅近くにある素朴な共同浴場。田んぼのなかにぽつりと一軒だけあり、プレハブの簡素な湯小屋にはドバドバと源泉が注がれています。温泉マニア向け。(12:00〜20:00・火曜定休・200円)
「えっ?野沢温泉ってあの野沢?」という声が聞こえてきそうですが、そうです、あの野沢温泉はすぐそこなんです。里山十帖から十日町に抜けると国道117号線に出ますが、その道を走ると30分もしないうちに県境を越して長野県へ。野沢温泉へはちょうど1時間で到着します。野沢といえば13の外湯(共同浴場)。2泊の旅なら里山十帖と野沢温泉というのは最高の組み合わせだと思います(宿でおすすめなのは「村のホテル 住吉屋」「民宿いけしょう」)。ちなみに外湯で有名なのは「大湯」ですが、おすすめは緑色に濁る「新湯」と野沢では比較的ぬるい「熊の手洗い湯」です。
白濁する湯にフワフワの湯の花が舞う新潟屈指の名湯・燕温泉。男女別の「黄金の湯」と、混浴の「河原の湯」という2つの公共露天風呂があります(日の出〜日没・冬季休業・無料)。旅館の日帰り入浴なら「花文」へ。鉄筋コンクリート造の鄙びた宿ですが、レトロな内湯の雰囲気はなかなかいい感じ。露天風呂からの眺めも絶景です。
赤倉温泉といえば「大野天風呂 滝の湯」(9:00〜20:00・無休・800円)ですが、ちょっと贅沢に「赤倉観光ホテル」の日帰りプラン(ランチ&温泉で5500円〜・要予約)を利用するというのもおすすめです。天空に浮かぶような露天風呂は新潟を代表する絶景風呂。透明なお湯には白い湯の花が舞います。