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Story:作家・開高健が愛した、とんてもない秘境「銀山平」。

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冬季の積雪は6メートル以上。多い年には10メートルを超す秘境「銀山平」。
「作家の開高健が通った湖のあるところ」といえばわかる方もいることでしょう。
『10  Storeis Hotel OZE 尾瀬十帖』は開高氏が常宿にしていた
「村杉」を引き継いだことから始まりました。
1975年には開高健氏が中心になって「奥只見の魚を育てる会」が発足。
今でも周囲が「とんでもない秘境」なのは、その活動があったから。
『尾瀬十帖』はそんな「大自然」を感じていただくための宿泊施設です。

新潟県魚沼市(旧湯之谷村)に「銀山平」という場所があります。その名の通り、江戸時代には年間4000kg以上の銀を産出した場所。あまりに山奥のため、麓の小出(現魚沼市)との間には8ヶ所の宿場があったといいます。

江戸末期に閉山してからは静かな秘境に戻りますが、その後、昭和28年に電源開発による「奥只見ダム」の建設が始まり再び脚光を浴びます。奥只見ダムの完成は昭和37年。あの黒部ダムの完成より一年早く完成したダムで、発電量は黒部ダムの25万kwより多い36万kw。この数字を見るだけで、いかに大規模なダムであるかがわかると思います。

それはすなわち「とんでもない秘境」ということ。黒部立山アルペンルートは秘境を切り拓いた観光地として有名ですが、この銀山平も黒部立山に劣らない「秘境」。銀山平の奥にはあの尾瀬が広がっているのですが、立山を尾瀬、奥只見湖を黒部湖と考えていただくと、イメージが湧くかと思います。

アクセス路は黒部立山の扇沢側と同じで、山に掘られた長い、長い、長いトンネル。「よくぞ、こんなトンネルを掘ったものだ」と誰もが感心するに違いありません。

黒部立山との違いは、あちらは一般車通行止ですが、銀山平へ続く奥只見シルバーラインは無料で自家用車が通行できること。とんでもない秘境に車で到達できるのが「銀山平」なのです。

その銀山平には6軒の温泉民宿があったのですが、このご時世、後継者のいない宿が少なくありません。しかも秘境。景観は素晴らしいのですが、自然環境は厳しく、冬は6〜8メートルの雪に閉ざされます。冬季は営業不可能なので営業効率も悪く、余計に後継者が現れないのです。

そんな銀山平の民宿『村杉』から一通のメールをいただいたのが2019年の1月。『村杉』といえば「オーパ!」「河は眠らない」などの著書で有名な、作家・開高健氏の定宿でした。

下記がそのメール(一部抜粋)。

「当宿エリアも後継者がおらず、閉鎖へ向かいつつありますので、そちらでの利用が可能かこ検討頂けないでしょうか? 百名山や釣り人など、それなりに利用はありますが、家族経営で来たために、高齢化へ向かい後継者がいない宿から閉鎖に向かっています。出来れば後継出来る方に転売したいとは思いますが、直ぐには見つからず、すでに実績のある御社でご利用価値がないかご検討いただけないでしょうか?」

『村杉』を引き継ぐことになり、話を進めている途中で、隣の『白光』も引き継ぐことなりました。そして、気軽なアウトドアの宿としての営業を考えていた最中、コロナ禍が世界を襲いました。

さて、どうする? 私たちは「この際だから全面刷新して新しいコンセプトの宿に変えよう!」という方向に舵を切りました。

建物の全面リノベーションはもちろん、設備の刷新、露天風呂やサウナの新設、センターハウスの設置などなど。「人間と自然との繋がり方」をコンセプトにした、グランピング的要素を持ったホテルへ変えることにしました。

黒部立山に引けを取らない大自然。すぐ先は尾瀬。目の前には越後駒ケ岳、中ノ岳、荒沢岳が広がります。まるで上高地のような絶景。なのに誰にも知られていない秘境。

秘境「銀山平」は11月末になると全ての宿が冬支度をして営業を終了します。再オープンは4月中旬。つまり工事も夏の間だけ。2020年、2021年、2022年、2023年、すでに4回の夏を工事期間に充てました。そしてやっと、2024年春、『10 Stories Hotel OZE 尾瀬十帖』が開業します。

山を眺めてのんびりする。尾瀬を散歩する。滝雲を眺める…。できれば2泊3日以上、中日にゆったり過ごしていただきたいと思っています。もちろんアクティブな方には釣り、本気登山、自転車、スキー、スノーボード…など、思う存分楽しめます。

もちろん山奥の秘境ですから、虫もいますし、熊も出ます。夜は満点の星空が広がりますが、正直、都会で暮らす方には大自然すぎて怖いかもしれません。でもそれが本当の「自然」なのです。自然への畏怖を忘れつつある昨今。失いつつある第六感を取り戻すためにも、脆弱になった人間力を回復するためにも、ぜひ自然との対話を試みてください。

クリエイティブディレクター 岩佐十良

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