ご予約検索 × CLOSE
ご宿泊日 / /  
ご宿泊人数

料理家・横塚美穂さんより、こんなメッセージをいただきました

料理家 横塚美穂旅をする醍醐味は、
その土地のテロワールを感じること。
里山十帖の食事には、それがあります

料理家
横塚美穂


国内外のレストランでの経験を経て、食のスペシャリストとして活躍。2014年、プライベート・レストラン「5 quinto」をオープン。同名でライフスタイルブランドをスタート。JSA認定ソムリエ、AISO認定オリーブオイルソムリエ。


 

里山十帖の料理の味わいは、雪解けの水のそれと似ています。

新潟の山に静かに深く降りつもる雪が、やがて春のぬくもりにとけだし、山肌に染み入り、野花や木々の命を育むように、ひとくちほおばるたびに自然の恵みがじんわり私たちのカラダをうるおす……そんな感覚を抱かせます。

里山十帖 なす料理

素材は、地場産のものが中心。春は近くの山々で採集された山菜を、夏は色とりどりのナスを、秋は稲の実りに感謝をして、冬はかぶや根菜類。わたくし、食の世界にたずさわる身でありながら、「新潟にはナスの品種がたくさんあって、見た目も香りも味わいもそれぞれにこんなに個性が違う」なんて、この宿を訪れてはじめて知りました。大人になってからの新たな経験との出会いや驚きはまた格別なもの。恵み豊かな里山は時間の流れとともにその実りも移り変わるので、何度となく季節を変えて訪れずにはいられません。

1年をかけ、食事を通して土地の風土を知るということは、なんと贅沢で知的な愉悦であることでしょうか。

里山十帖シェフ 北崎と桑木野

料理は、2人の個性豊かなシェフがご担当。料理にはつくる人の性格までもがあらわれると言いますが、ひとさら食べれば、彼らがいかに誠実な人柄で、どれほど真摯に土地に向き合っているかを感じることができるでしょう。北崎シェフは、正統派の日本料理のご出身。名店で磨かれた確かな技術と経験には安定感があります。桑木野シェフはアーユルヴェーダに精通していらして、ハッと目をみはるようなスパイス使いで料理を彩ります。里山十帖の料理は、この2人のシェフと「自遊人」のクリエイティブ・ディレクター、岩佐十良さんと、3人で知恵を絞りながら試行錯誤を繰り返していると聞きました。個性の違う料理人同士が、互いのスペシャリティをいかしつつひとつの皿をつくるというのは実はなかなか難しい作業なのですが、少しずつ互いを理解し、良さを吸収し、呼吸がかみ合ってきていることを感じています。3人でつくりあげることで伸び代が広がり、ここから更にどんな進化を遂げていくのかというのも密かな楽しみです。

わたくしが思う旅をする醍醐味は、その土地のテロワールを感じること。里山十帖の食事にはそれがあります。 新潟で生まれ育ったものどうしを組み合わせ、この土地ならではの食べ方をとりいれ、食卓にストーリーを紡ぎあげていく。不必要な華美を削ぎ落として、本質に迫ろうとする気迫すら感じます。

そうそう。この宿に来たら、地元のお酒もお忘れなく。やさしい料理に寄り添うようなビオや新潟のワイン、そして米どころ・名水地ならではの甘やかで特別な日本酒も取り揃えられています。

ダイニングの名前「早苗饗(さなぶり)」が「田植えが終わった後に神や自然に感謝しながら、農作業をともにした人々をもてなす料理」を意味するように、この宿での食べ手はただの観客ではなく、食卓に「参加」する大切な一員。自然の恵みに感謝しつつ、滋味豊かな食事に身をゆだねれば、必ずこの土地を訪れた幸せを感じることでしょう。

「春には岩佐さんと一緒に山菜採りへ。季節を変えて何回か訪れていますが、いつもその土地でしか出来ないことを実践されているのが素晴らしいと思います」。

里山十帖 岩佐十良

*掲載されている情報は、投稿時の情報です

次のページ 前のページ